電気メーターってどこにある?有効期限や交換に関する疑問にもお答えします

電気メーター

 各家庭に必ず設置されている電気メーターですが、普段あまり意識していない人もいるでしょう。電気メーターには設置場所や有効期限など、さまざまな規定が定められています。また近年はスマートメーターと呼ばれる、電子式の電気メーターへの置き換えが進んでいます。本記事ではスマートメーターに代わることのメリットについても説明しましょう。

電気メーターの設置場所

 電気メーターの設置場所には電力会社による規定が存在します。規定の内容および具体的な設置場所について説明します。

設置場所の規定とは

 電気メーターは通常、電力会社の所有物であり、電力会社の負担で各家庭に取り付けられています。そのため設置場所や設置方法は電力会社の規定1に従う必要があります。なお本記事では電気メーターと記載していますが、電力会社では「電力量計」という呼び名を使っています。

 電気メーターの設置場所は原則として屋外。地表から1.8m~2.2mの高さに取り付けるように指定があります。ただし工事上やむを得ない場合で、検針・保守に支障がない場合は電力会社との協議のうえで、例外も認められています。例えばアパートの中廊下のような環境では屋内に設置することも可能です。しかし一般家庭の屋内では、検針で外部の人間が立ち入るのに支障があると考えられるため、基本的には認められないと考えたほうがよいでしょう。

 取り付けに必要なスペース にも規定2があります。上面および側面と壁、配管等の造営物との間隔は10mm以上、電気メーターの前面は取り付け面から240mm or 260mmのスペースが必要。また電気メーターには法令で有効期限が定められており、期限切れとなった場合は電力会社によって取り換えを行ないます。

設置場所の注意点

 電気メーターの具体的な設置場所として、屋外や玄関付近、専用のメーターボックス内などが挙げられます。ただし、現在はもちろん将来も建造物の増設等で検針や保守の支障にならない箇所3にしましょう。

 地表から1.8m~2.2mの高さに設置すると、位置が高すぎて数字が読めないのではないかと感じる方もいるでしょう。検針員が電気メーターの数字を確認するための、長い持ち手付きの専用ミラーも存在するので、基本的には心配いりません。ただし、専用ミラーを持たない一般の人が確認したい場合には少し不便かもしれませんね。

 遠隔での検針が可能なスマートメーターであれば、検針員が直接確認する必要はありません。それでも設置場所の規定には原則従う必要があります。電気メーターには耐用年数が定められており、期限が切れれば作業員が取替を行なうためです。4

電気メーターの有効期限と交換方法

電気メーターの交換

 電気メーターには、メーカーにて定められた有効期限があります。期限が切れた場合はどのように交換が行なわれるのか説明しましょう。

有効期限とは

 電気メーターは一つひとつ検定を実施しており、検定に合格したもののみが各家庭に設置されています。24時間365日のあいだ正しい値を計測し続ける必要があるため、有効期限5が定められています。有効期限は電気メーターの正面に貼り付けられた、丸いシールに記載されています。

 一般的な家庭用電気メーター(家庭用単独計器)の場合、有効期限は10年であるものが大半。過去には有効期限が7年の計器もありましたが、昭和45年頃に製造終了6しました。電気メーターは計量法で定める基準に適合するもののみ、使用が認められています。そのため有効期限が過ぎた電気メーターについては交換の対象となります。

交換方法について

 家庭用の電気メーターは、その地域の大手電力会社の所有物という扱い。そのため有効期限が過ぎたものは、電力会社が交換して回収します。2016年の電力自由化で小売電気事業者の新規参入が増えましたが、交換作業は実施しません。なぜなら彼らはあくまでも電気の小売業者であり、各家庭への配電や送電を担うのは大手の電力会社であるためです。

 交換の際には電力会社や工事会社の作業員が各家庭に訪問します。電気メーターは電力会社の所有物であるため、交換用のメーターの費用はもちろんのこと、設置作業にかかる料金は発生しません。また状況によって例外もありますが、原則は立ち合いも必要ありません。

 電気メーターの交換作業に便乗した勧誘行為には十分注意してください。実際に交換作業を理由として、電力の契約切り替えを勧められたという相談が消費生活センター7に寄せられています。交換作業は無料ですし、特殊な手続きも不要です。電話勧誘や訪問を受けた際には、不用意に個人情報を伝えないようにしましょう。仮に契約を結んだ場合にはクーリング・オフの対象となります。

スマートメーターへの交換

 電気メーターには機械式と電子式の2種類があります。ご自身の自宅に設置されているものがどちらかわからない、という方もいるかもしれません。機械式は電磁誘導でアルミの円板を回転させる機械仕掛けの構造であり、電子式は電子回路で電圧や電流を計測する構造です。電力量を示す数字がデジタル表示板に表示されるものが電子式、と判断すればよいでしょう。

 電子式の電気メーターは「スマートメーター」とも呼ばれています。現在は機械式を使用している家庭でも、今後交換する際は電子式への交換となります。背景にあるのは国が進めているレベニューキャップ制度。8この制度は再生可能エネルギーの活用や、災害時の対応力強化を狙いとしていますが、その目標の一つにスマートメーターの活用が掲げられています。

 全国的にスマートメーターへの置き換えが進められており、工場などの高圧部門では2016年度までに全数導入完了。家庭などの低圧部門では2024年度末までに導入完了という計画9で進められています。

スマートメーターでこう変わる

スマートメーターで実現する暮らし

 従来の機械式の電力量計からスマートメーターに置き換わったことで、どのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは3つのメリットについてご紹介します。

遠隔での検針が可能

 スマートメーターの一番の特徴は通信機能が備わっていること。従来の電気メーターは検針員が各家庭を直接訪問し、目視で電力使用量を確認する必要がありました。現地の状況によっては検針時に立ち会う必要もありました。

 スマートメーターの通信機能により計測データが自動的に電力会社に届くため、人が検針を行なう必要がなくなりました。電力会社側としては、検針にかかる人件費の削減につながります。一方で電気を使用する需要者側としても、検針時の立ち合いが不要になったこと、検針員が敷地内に入ることがないため防犯面で安心できるといったメリットがあります。

電力使用量の情報取得

 従来の電気メーターは一ヵ月に一度の検針時に総使用量を確認しますが、スマートメーターは30分ごとの使用量を計測。そのため電気の使用量の多い日にちや時間帯を把握できるようになり、より効率的に省エネを検討できます。

 HEMS (Home Energy Management System)10と呼ばれる、家庭内のエネルギーの管理システムの活用も可能。スマートメーターの計測データを家庭内のHEMS機器に送信すると、エネルギーの見える化だけでなく、各機器の効率的な制御により省エネの実現にもつながります。

アンペアブレーカーを内蔵

 自宅の契約アンペア数を変更したいとき、従来は屋内のブレーカーの取替作業をする必要がありました。しかし、スマートメーターにはアンペアブレーカーが内蔵されており、アンペア変更が必要な際には遠隔で変更作業が行なえます。

 契約アンペア数を超えて電気を使用し、ブレーカーが落ちた際には十数秒後に自動復帰する機能があります。ただし停電が継続している場合は、安全のため自動復帰を取り止め、停電状態を継続する仕組み。大規模停電の際には電力会社でスマートメーターの情報を確認し、迅速な復旧作業に役立てられます。

まとめ

 電気メーターは電力会社の所有物であり、原則として屋外の地表から1.8m~2.2mの箇所に取り付けられます。やむを得ない場合があれば電力会社との協議で別の場所への取り付けも可能です。また有効期限も定められており、通常は10年。期限が切れた場合は電力会社により無料で交換対応してもらえます。

 今後の電気メーターは電子式で通信機能を持つスマートメーターに置き換わります。全国の家庭用の電気メーターは2024年度末までに導入完了の予定。スマートメーターに置き代わることで、遠隔での検針が可能、電力使用量の詳細情報が取得できる、契約アンペア変更が遠隔で可能などのメリットがあります。

Footnotes

  1. TEPCO:電力量計類及び計器箱の施設
  2. 関西電力送配電:低圧託送工事
  3. TEPCO:計器等の取付場所の選定についてのお願い
  4. 関西電力:計量器(メーター)の取付位置の目安はありますか?
  5. JEMIC:くらしと検定 No.22
  6. 経済産業省:電気計器の種類、構造について
  7. 独立行政法人 国民生活センター:スマートメーターの交換工事が必要だと電話がかかってきた
  8. 経済産業省:託送料金制度(レベニューキャップ制度)の検討状況について
  9. 経済産業省:次世代スマートメーターの仕様の検討状況について
  10. Panasonic スマートHEMS : HEMS(ヘムス)とは?