PS5の電気代って高い?実際の消費電力と節約方法について紹介

2022年6月15日

PS5の外観

 家庭用ゲーム機のなかでもハイスペックであるPS5は消費電力が大きいため、電気代が高くなるのではないかと心配な方もいるでしょう。PS5の最大消費電力は350Wと公開されているものの、実際のところはもっと低い値になるため電気代ももう少し抑えた金額になります。

 本記事ではPS5やPS4などの具体的な電気代の金額を示します。ゲーム機の動作状態や遊ぶソフトの種類によってどう変わるか調査しました。PS5の消費電力を削減し電気代を節約する方法をいくつか紹介するので、ぜひ参考にしてください。

消費電力と電気代の計算のしかた

 消費電力は瞬間的に発生する電力のことを指し、消費電力(W)=電圧(V)×消費電流(A)を意味します。日本の家庭用のコンセントは100Vであるため、コンセントに接続した機器が1A消費すれば消費電力は100W。ただしこれは「瞬間的」な値であり、家電製品の消費電力は一定ではなく状況に応じて変動しています。

電気代の計算式

消費電力(W)×使用時間(h)×電気料金単価(円/Wh)=電気代(円)

 消費電力はタイミングによって異なるために電気代の計算が困難です。そこで一定期間内の消費電力の平均値を考えるため電力量という値を使ってみましょう。電力量(Wh)=消費電力(W)×使用時間(h)の式で、ある消費電力で1時間動かし続けた際の電力量を求められます。

 電力量1Whあたり何円になるかを表すのが電気料金単価です。全国家庭電気製品公正取引協議会が2014年に定めた電気料金の目安の金額があり、1kWhあたり27円(税込み)1。1kWh=1000Whなので0.027円/Whとも書き換えられます。仮に平均100Wの消費電力の家電製品を1時間動かし続けた場合の電気代は、100W×1h×0.027円/Wh=2.7円です。

PS5や他のゲーム機の電気代を比較

PS5とPS4、PS3を比較

 電気代の計算を行なう際にはゲーム機の動作状態によって消費電力が変わるという点に注意してください。ゲーム機ならゲームをプレイしているときと単に電源を入れただけのときでは大きく変わります。電気代の計算を比較するには「どの状態で比較するか」を考慮しましょう。

PS5、PS4、PS3の消費電力

 PS5、PS4、PS3の各動作状態における消費電力の違いについて欧州のGames Console Voluntary Agreement(ゲーム機自主協定)がデータを公表しています2。元データは英国版のPS5であるため日本版と型番の表記が異なりますが、電力量のデータとしては同一と見なせるでしょう。

型番ゲーム中ブルーレイ再生メニュー画面レストモード
(最大/最小)
PS5
CFI-1100A
199.0W(PS5)
104.7W(PS4)
53.3W44.0W3.2W / 0.36W
PS5
Digital Edition
CFI-1100B
208.8W(PS5)
107.2W(PS4)
非対応44.2W3.8W / 0.36W
PS5
CFI-1000A
196.9W(PS5)
107.1W(PS4)
53.0W43.1W3.7W / 0.3W
PS5
Digital Edition
CFI-1000B
198.3W(PS5)
106.7W(PS4)
非対応43.1W3.7W / 0.3W
PS4 Pro
CUH-7200
146.4W54.1W53.9W6.4W / 0.2W
PS4
CUH-2200
78.2W45.5W40.0W5.4W / 0.2W
PS3
CECH-4300C
76.3W68.1W67.6W記載なし /
0.5W未満

 表1について説明を補足しましょう。「ゲーム中」の消費電力ですが、PS5の場合はPS5とPS4両方のソフトが遊べるのでそれぞれの消費電力を記載しました。実際は選ぶソフトによって消費電力が異なるため代表的な3タイトルの平均値を記載しています。ただしPS5でプレイしたPS4のソフトは平均値ではなく「Marvel’s Spider-Man」の値を記載しており、「Battlefield 4」より10W以上消費電力が大きくなります。

 「レストモード」はいわゆるスタンバイモードですが、スタンバイ中にアップデートファイルなどのダウンロードやコントローラなどのUSB機器の充電を行なうかという設定があります。これらの設定によって消費電力の幅があるので最大と最小の2つを記載しました。

 同じ型番のゲーム機でも動作によって、遊ぶゲームによって消費電力が大きく異なることがわかるでしょう。特に解像度の高いゲームは映像の演算処理に高負荷がかかるため、消費電力が大きくなりがちです。同じPS5でプレイした場合でもPS5のソフトとPS4のソフトでは2倍近く消費電力が変わるのも興味深いですね。

PS5、PS4、PS3の電気代

 各ゲーム機の消費電力から実際の電気代を計算してみましょう。ゲームを1時間プレイしたときの電気代と1ヵ月間(30日)の電気代を計算します。1ヵ月間の計算では毎日1時間プレイし、残りの23時間はレストモード(最大)の電力を消費したとします。

型番消費電力
(ゲーム中)
消費電力
(レストモード)
電気代/1時間電気代/1ヵ月
PS5
CFI-1100A
199.0W(PS5)
104.7W(PS4)
3.2W5.4円(PS5)
2.8円(PS4)
220.8円(PS5)
144.4円(PS4)
PS5
Digital Edition
CFI-1100B
208.8W(PS5)
107.2W(PS4)
3.8W5.6円(PS5)
2.9円(PS4)
239.9円(PS5)
157.6円(PS4)
PS5
CFI-1000A
196.9W(PS5)
107.1W(PS4)
3.7W5.3円(PS5)
2.9円(PS4)
228.4円(PS5)
155.7円(PS4)
PS5
Digital Edition
CFI-1000B
198.3W(PS5)
106.7W(PS4)
3.7W5.4円(PS5)
2.9円(PS4)
229.6円(PS5)
155.4円(PS4)
PS4 Pro
CUH-7200
146.4W6.4W4.0円237.8円
PS4
CUH-2200
78.2W5.4W2.1円163.9円
PS3
CECH-4300C
76.3W1.0W2.1円80.4円

 ゲームは1日1時間というお約束を守っている限りは、PS5の1ヵ月間の電気代は200円程度です。PS3からPS4、PS5へとハードが進化するにつれて消費電力が増加し、それに比例して電気代も増加してきました。しかし消費電力の増加はデメリットだけではなく、ゲーム機の性能が進化してきたことの表れでもあります。

なぜPS5の消費電力は最大値にならないか

PS5の消費電力

PS5の最大消費電力は通常版で350W、Digital Editionで340W3と公表されていますが、実際のゲーム中における消費電力は200W前後と低い値になります。なぜなら350Wや340Wという数字は、PS5に内蔵されている電源ユニットの最大出力電力のスペックを記載しているに過ぎないからです。

 PS5の内部で使用している電源ユニットは「ADP-400DR」(SIE社製)ですが、その最大出力電力は372W4なので実際は公表値よりも少し余裕がありますね。一般的に電気機器の電源設計を行なう場合は、機器内にあるSSD、CPU、GPU、RAMなどの各パーツの消費電力を十分満たすことを考えます。さらに各パーツの消費電力の合計値ギリギリではなく、ある程度余裕を持った容量の電源を選定します。

高スペックなゲームほど消費電力が高い

 最大消費電力350Wというのは、たとえPS5が持つスペックをフル活用させた場合でも、この値以内には収まるという数字だと考えれば良いでしょう。高画質なゲームをプレイした場合でもゲームの場面によってかかる負荷は変わるので、常に350W近くまで消費し続けることは考えにくいです。

また前述した消費電力の比較(表1)によると、PS4 ProでPS4のゲームをプレイした場合より、PS5でPS4のゲームをプレイした場合のほうが小さい消費電力となっています。「PS5だから」消費電力が高くなるのではなく、「PS5で高スペックなゲームをするから」消費電力が高くなるのです。最大消費電力の高さはPS5の処理能力の高さを表しているともいえるでしょう。

PS5の電気代の節約方法4選

PS5の電気代の節約方法

(1) 負荷の軽いゲームをプレイする

 PS5のスペックをフル活用するようなゲームをプレイすると消費電力が大きくなり、電気代も高くなります。高画質で高負荷なゲームほどCPUやGPUの負荷が大きく消費電力の増加を引き起こすため、なるべく負荷を減らせるようなゲームを選択します。具体的には次のような方法があるでしょう。

  • 解像度やフレームレートの低いゲームを遊ぶ
  • PS4のゲームやPS nowで過去のハードのゲームを遊ぶ
  • ゲーム内の設定で解像度やフレームレートを落とす

 いずれもPS5のスペックをフル活用できないというデメリットがあるため、受け入れにくい人もいるかもしれません。しかしPS4のゲームはPS4で遊ぶよりもPS5で遊んだほうが消費電力が低いため、PS4メインで考えている人には買い替えるメリットとなります。

(2) レストモードと省電力設定を活用する

 PS5はレストモード(スタンバイモード)の設定によりゲームをプレイしていない時間の消費電力を減らせます。レストモード中にインターネットに接続するか、USB端子に給電するかなどの設定次第で約3Wの消費電力の削減に。極端な話、使用しないときは完全に電源をオフしてしまえば待機電力を消費せず節約になります。

型番消費電力
(ゲーム中)
消費電力
(レストモード)
電気代/1時間
(レストモード)
電気代/1ヵ月
(電源オフ)
PS5
CFI-1100A
199.0W(PS5)
104.7W(PS4)
3.2W220.8円(PS5)
144.4円(PS4)
161.2円(PS5)
84.8円(PS4)
PS5
Digital Edition
CFI-1100B
208.8W(PS5)
107.2W(PS4)
3.8W239.9円(PS5)
157.6円(PS4)
169.1円(PS5)
86.8円(PS4)
PS5
CFI-1000A
196.9W(PS5)
107.1W(PS4)
3.7W228.4円(PS5)
155.7円(PS4)
159.5円(PS5)
86.8円(PS4)
PS5
Digital Edition
CFI-1000B
198.3W(PS5)
106.7W(PS4)
3.7W229.6円(PS5)
155.4円(PS4)
160.6円(PS5)
86.4円(PS4)
PS4 Pro
CUH-7200
146.4W6.4W237.8円118.6円
PS4
CUH-2200
78.2W5.4W163.9円63.3円
PS3
CECH-4300C
76.3W1.0W80.4円61.8円

 表2の電気代の比較をもとに、レストモードの最大消費電力となるよう設定した状態と、電源をオフした待機電力ゼロ状態との1ヵ月間の電気代を比較したのが表3です。PS5の場合、金額にして60~70円の差があります。完全に電源オフだと起動時に時間がかかったり、起動直後にダウンロード待ちが発生したりなどのデメリットもあるので、それらも含めて検討してください。

 PS5がレストモードに入るまでの時間を設定することも忘れないようにしましょう。メニュー画面のままだと消費電力が10倍以上増えてしまいます。レストモードにするまでの時間はメディアの再生中とゲームのプレイ中の2つ設定できますが、メディアの再生中の設定時間が短いと映画などの視聴中に画面が消えてしまうので注意してください。

(3) テレビなど周辺機器の電気代を下げる

 PS5を起動させるときは周囲の家電製品の電源も入れているはずであり、本来はこれらの消費電力や電気代も含めて考えるべきでしょう。テレビ、プロジェクター、ディスプレイ、スピーカー、ヘッドホンなどの機器が考えられますが、以下のような対策が可能です。

  • 消費電力の少ない機器に買い替える
  • 映像出力機器の画質や明るさを落とす
  • スピーカーやヘッドホンの音量を落とす

(4) 電気料金のプランを見直す

 本記事に載せている電気代は電気料金単価の1kWhあたり27円という数字から算出しています。しかしこの値はあくまでも電気料金の目安であり、実際は地域や契約しているプラン、1ヵ月の合計電気使用量などで変わる値です。

 電気料金プランの見直しで電気料金単価を下げればPS5に限らず家全体の電気代を下げられます。夜間や深夜の電気使用量が安くなるプランなどもあり、日中は仕事や学校で外出していることが多い人などはプラン変更で大きく削減できる可能性もあるでしょう。見直しの手間はかかりますが、一度設定さえすれば、その後は何もしなくても恩恵が得られます。

まとめ

 PS5の電気代は1時間あたり約5円、毎日1時間ずつプレイした場合に1ヵ月で約220円です。ただし高画質なゲームをプレイした場合など高負荷な動作をしているときに消費電力が大きくなります。「PS5だから」電気代が高いのではなく、「PS5で高スペックなゲームをするから」電気代が高くなるのだと強調させてください。

 電気代を節約するなら負荷の軽いゲームをプレイする、レストモードを活用する、周辺機器の電気代を削減する、電気料金のプランを見直すといった方法があります。特に電気料金プランの見直しは一度設定すれば、その後は何もしなくても効果が続くのでおすすめできる方法です。

Footnotes

  1. 公益社団法人 全国家庭電気製品公平取引協議会「電力料金の目安単価」の改定に関する件」(2014)
  2. PLAYSTATION.COM(UK) “ENERGY EFFICIENCY Active Power Consumption”
  3. PlayStation.Blog「プレイステーション®5 11月12日(木)に発売決定 PS5™デジタル・エディション 希望小売価格39,980円+税、PS5™ 希望小売価格49,980円+税」
  4. TECH POWER UP “PlayStation 5 Power Supply(ADP-400DR) Review”